我が名はなんとか菜である!

主に技術系の記事を書きますが、ポエムも混入します。

Outer Wilds をやって新たなゲームへの価値観が芽生えた気がする話【途中までネタバレなし】

やっとDLCの Echoes of the Eye までクリアできたので感想を書きます。
50時間ぐらい掛かったのかな?全編配信でやったんだけど最後まで見てくれた人は本当にありがとうございました。

途中から結末に関する内容を含むネタバレあり(「続きを読む」以降)になるのでやってない人はこの記事読まなくてもいいからやってくれ、頼む。

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今日はモスで書いてる。

ゲームをやってきてかれこれ26年ぐらいになるが、5年ごとぐらいに「それまでのゲームへの価値観を変えるゲーム」に出会ってきた。

僕の中でそのゲームを挙げると、

26年間で5年ごとのはずが余裕で5本以上になってしまったけどまあ細かいことはいいとして、

このラインナップの中に僕は Outer Wilds を加えたいと思う。

このリストに入っているゲームは、前述のとおり僕の価値観を変えたゲームであるわけだけど、具体的にはそれぞれ「3Dゲームの楽しさ」とか「ネットワーク越しでやる対戦ゲームの奥深さ」とか「3D空間の新しい活かし方」のように、新たな価値観の基準を僕に与えてくれた。

Outer Wilds は、僕にとって「探索ゲームの楽しさの基準」を与えてくれたと思っている。

正直言って、いままで探索ゲームの類はあまり好きではなかった。
なぜなら、「そんなのしらみつぶしするしかねーじゃん」と思っていたからである。

よーーーく見ると、確かにヒントらしきものは示されていたりするのだけど、でもそれは「言われたら確かに分かるけど…」のような、あまりすっきりとしないヒントであることが多かった。

特に、この傾向は2010年代にネットで流行っていたフリーのツクール製ホラーゲームによく見られた。
要は「探索とは、単にゲームを前に進めるためのフラグ解除作業」というシステムでしかなかったため、どうしてもどのゲームでも同じようなカラクリにならざるを得ず、どのゲームをやってもそこに新しい体験はほぼないに等しかったからである。(もちろん、ストーリー自体はものすごく楽しめたりするものが多かったけど)

しかし、 Outer Wilds はこういった探索ゲームとは一線を画している点がある。

それは、「探索が必ずしもゲームクリアという目的には必須ではない」という点である。

Outer Wilds には、いわゆる「フラグ」のようなものがほとんどないに等しい。

そのため、答えを知っていれば最初からゴールまで一気に飛び込んで、10分以内にエンディングを見ることだってできる。(実際、RTAではそのような映像が繰り広げられる)

ストーリーの導入では、ある日宇宙飛行士となったプレイヤーは、特に目的も示されないまま突然宇宙へと飛び出していくことになる。

※「続きを読む」の内容からネタバレがあります、未プレイの人は引き返してくれ頼む。


























また、この世界にはある法則があり、それは「22分経つと太陽が超新星爆発を起こし、この世界が滅びる」というものである。
しかし、プレイヤーは、太陽が超新星爆発を起こしたあとに謎の力により22分前に時間が戻り、ループをまた最初からやり直すことになる。

この謎の力はいったい何なのか、各地に痕跡だけがありすでに滅びたと思われる謎の異星人 "Nomai" とはいったい何者なのか、この世界をこの結末から救うことは出来るのか、プレイヤーは自ら様々な惑星に宇宙船で赴き、謎を解いていくことになる。

ここでポイントになるのが、プレイヤーから自発的に「新たな謎の答えを自分から求めに行かせる」という作りになっていることである。

システムから「次はあれをやれ」「次はここに行け」と示されるのではなく、「個々の謎を解くために足りない情報は何か」を自ら探すことを求められるのだ。

例えば、「幽霊物質」という、触れると大ダメージを受け、数秒で死に至るガスのようなオブジェクトがある。しかも、通常のプレイヤーの視点ではその幽霊物質は一切見ることが出来ない(幽霊物質を検知、という警告は一応出るが)のだが、唯一「探査機やカメラの写真を通すことで緑色に光って見える」という仕組みになっている。

ゲームの途中、迷路のようになっている通路の一方は幽霊物質に満たされ、そちらを通ると即死するというギミックになっているロケーションがあるのだが、これを回避するためには「探査機を通路に飛ばし、幽霊物質がある通路を確認しながら先に進む」という進め方を思いつく必要がある。

幽霊物質に関する情報は、実は主人公が最初に目を覚ます母星「木の炉辺」のとある高台に、実際の幽霊物質と共に説明書きの看板が置いてあったりする。

また、この太陽系には各地に "Nomai" と呼ばれる異星人が、過去にこの地で何かの研究を行っていたらしき痕跡が散らばっており、そのメッセージを読むことで彼らの足跡を追うことが出来るようになっている。
前述の幽霊物質に関するギミックは、この "Nomai" たちがどうして滅びてしまったのかを解き明かすための情報につながっていたりするのである。
しかし、その謎を解き明かしたところで、なぜこの太陽系は滅びてしまう運命にあるのかは分からずじまいだし、どうして死ぬと最初からやり直すことになるのかはまだ分からない。

このような感じで、とにかくプレイヤー自身が次の謎を探し求めたくて仕方なくなってしまうという仕組みになっている。

しかも、それらは、一つずつ謎を解き明かしていくことによって緻密に情報同士が繋がり、新たな次の目的地が判明したりするのがとても秀逸であると感じた。(得た情報は、宇宙船内の端末内「航海日誌」にていつでも確認出来るようになっているので、メモなどは必要ない)

特に、量子物質の仕組みが分かったときは、思わず声が震えてしまうほどに衝撃を受けた。このゲームをやったことがある人なら、初めて量子の月に降り立ったときの感動を分かってもらえるだろう。まるで、この世界の謎をすべて理解したかのようなあの気持ちのことである。(まあ、そのあとそれでもこのゲームはまだまだ道半ばであることが分かって絶望したりするのだけど)

最後の、この太陽系はおろかこの宇宙は実はもう助からず、主人公が次なる「宇宙の眼」になってまた新たな世界が作られるという展開は、なんとも儚く、そして最も「このゲームらしい」終わり方であると思った。

僕は自分から行動を起こさせてくれる自由度の高いゲームが好きなのだが、逆に、「ゲーム側から次の目的地を示されるほうが何も考えなくてラクチンだ」みたいな人にとっては向かないのかもしれない。
だが、そういう人にこそ遊んで欲しいゲームかもしれないなとちょっと思った。

もちろん、自分の価値観を押し付けるつもりは毛頭ないのだが、このゲームは、自らの好奇心を満たすために次の展開を求めていくという、ある意味「ゲームを遊ぶこと」の本質とも呼べる体験を存分に味わわせてくれる。
だから、今まで「じっくりゲームを遊ぶ」ことをしたことがない人や、「ゲームは単なる暇つぶしである」と思っている人にこそ、こういうゲームの遊び方もあるんだなというのを知ってもらうのにちょうどいいのではないかと思う。

まあ、3D酔いしやすい人にとっては少し厳しいかもしれないが・・・。何しろ重力の影響で上下が反転したりするような状況が常にあるので。

ここまで読んで頂いた人にこの話をするのは偏ったポジショントークになってしまうのかもしれないけど、このゲームはそれほど面白かった。

(ちょっと疲れてきたので文体を崩す)

いやあ、だってすごくない?Nomaiの技術力ももちろんすげーんだけどさ、なにより僕が感動したのは超新星爆発のあの演出なんだよね、超新星爆発って星の周囲の物質が重力に耐え切れなくなってコアに向かって落下して、そのあと圧縮されたコアにその物質が跳ね返されて起こる(と考えられている)現象なんだけど、それが見事に映像として再現されてるのもすげーって焼かれながら思ったし、これ演出作った人はマジで宇宙もゲームも大好きなんだなーって思って2重3重で感動したのよね(早口)

というわけで、僕の文章力ではそろそろ収集が付かなくなりそうなのでこの辺で〆ようと思うけど、本当に久しぶりに記憶に強く残るゲームに出会えたと思った。

まさに記憶を消してもう一度やりたいゲームである。

実はまだ「航海日誌を完成させる」という実績を解除できてないので、ちまちまとたまに起動して宇宙旅行でも楽しもうかなと思っている。

ありがとう、 Outer Wilds

最後にもう一回 Steam のページを貼る。

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